良い歯並びは、子どもの頃にしっかりと！  

良い歯並びを作る為には、日常の生活中で悪い歯並びを作らないように予防することが大切です。多くの場合、食生活が鍵になり特に大切な時期は、母乳から離乳食、幼児食、成人食へと大きく食生活が変わる０～３歳の間です。良い歯並びを作る為には、少しの知識とそれを実行する少しの努力が、保護者の方に求められます。

お口は食生活と最も深い関係があります。良い歯並びには、口の周りの筋肉がバランスよく鍛えられることが必要です。その中でも、舌は複雑な動きをする筋肉で歯並びに大きく関係します。母乳を与え始めた頃の赤ちゃんは、生まれつき備わった動きで、口の中に取り込んだ乳首を上顎にあて、舌を前方へ動かしながら母乳を吸います。離乳期に入ると、舌を使って柔らかい食べ物を後ろに送り、飲み込みを助けます。舌は、歯のない時から食べることに大きく関わっています。舌が正常に働くことが正しい歯並びを作ります。舌が上手く役割を果たすことができなければ歯並びにも影響するのです。

いつまでも夜間に母乳を与え続けると歯並びに影響を与えることがあります。授乳期は、舌を前に出すような動きが母乳を飲むために必要でした。しかし、生後４，５ヶ月たって離乳期に入り、スプーン、コップなどの食器を使うようになると舌は食べ物の塊を喉の奥に送り込む働きをするようになります。離乳の時期は、固形の食べ物を飲み込む方法を習熟していく期間でもあるのです。コップが使えるようになった後も夜間に母乳を与え、舌を前に出す動きを続けると悪い癖として残ってしまう可能性があります。これは幼児嚥下癖と呼ばれ、歯並びに影響を与えることがあります。夜間に母乳を与え続ける理由は、「泣いて寝てくれないから」ということのようです。頑張って１歳をめどに母乳がやめられるように努力してみてください。

長期間にわたって「指しゃぶり」を続けると、歯並びに悪い影響を与えることがあります。歯並びのことだけを考えれば、すぐにもやめさせたいものです。しかし、必要以上に叱りつけたりして子どものの心に負い目を追わせるようなことがあってはいけません。おおらかな気持ちで、忍耐強く「指しゃぶり」をやめる機会を探し続けることが大切ではないでしょうか。「おしゃぶり」も使いすぎると歯並びに悪い影響を与えることがあります。注意が必要です。

よく噛むことは消化に良いばかりでなく、口の周りの筋肉を鍛え、歯並びにも良いと考えられています。硬いものを多く食べていた古代人は現代人に比較して顎がしっかりしていました。古代人のように硬いものを食べることは、現代では困難ですが、口の中で、左右それぞれ２０回ずつ噛むことが出来れば理想的です。

受け口（反対咬合）は、早めに初期治療を受けることをお勧めします。最近では、３歳の頃から使える治療器具（ムーンシールド）もあります。ほかの歯並びの問題は７歳頃をめどに、一度診察を受けたほうがいいでしょう。歯の数の異常や、上唇の中央にある小帯と呼ばれる、部分が歯並びに影響を与えることがあります。いずれにしても、歯並びは親子で顔かたちが似るように、同じ傾向をたどることがあります。定期健診を続け、時期を逃さず治療を開始することが望ましいと考えます。